著者プロフィール
予防医学研究者 石川 善樹

予防医学研究者・博士(医学)
1981 年、広島県生まれ。東京大学医学部を経て、米国ハーバード大学公衆衛生大学院修了。
株式会社キャンサースキャンおよび株式会社Campus for H共同創業者。
主著に、『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』 (マガジンハウス社)、 『友だちの数で寿命はきまる』(マガジンハウス社)、ほか。

DAY3 – 脳のパフォーマンスを維持するために身につけるべき習慣

現代人の食環境は、ただでさえ糖質や糖類の多いものになっています。
安定して脳のパフォーマンスを維持するためには、過度な糖分・糖類摂取は避けなくてはなりません。

では、どうしたら過度な糖分摂取を避けることができるようになるのでしょうか?

その第一歩は、食品の包装などに表示されている「原材料名」や「栄養成分表示」を確認する習慣を身につけることです。

では一例として、コンビニで売られている、ある幕の内弁当の原材料名と栄養成分表示を見てみましょう。

原材料名は、一般的に「食品添加物以外→食品添加物→アレルギー表記」という順番で書かれています。
この幕の内弁当の場合、ご飯からふりかけまでが、食品添加物以外の原材料であり、加工デンプンから漂白剤(亜硫酸塩)までが食品添加物です。

もうひとつ重要なのは、この2種類は、それぞれの使用料が多い順番に記されているということです。
ですから、それぞれご飯と加工デンプンが一番量が多いということですね。
その下に「栄養成分表示」があります。栄養成分表示は以下の順番で書かれています。

  • ①熱量(kcal)
  • ②タンパク質(g)
  • ③脂質(g)
  • ④炭水化物(g)
  • ⑤ナトリウム(g)

お弁当の場合、④炭水化物はほとんど、ご飯や加工デンプンです。

買うときに「原材料名」と「栄養成分表示」を見て、ご飯や加工デンプン、炭水化物の量の少ないものを選ぶ、
ご飯が白米でなく玄米や雑穀の入ったものにする、食べるときにごはんの量を調整する、といった方法で、
お弁当からの糖質・糖分摂取量をコントロールすることができます。

こうした「原材料名」と「栄養成分表示」の見方がわかると、お菓子を選ぶ目も変わってきます。

ミルクチョコレートとカカオ70%のチョコの成分表示を比べてみましょう。

ミルクチョコレートの原材料名を見ると、最初に「砂糖」とあります。
原材料名は、いちばん多く含まれているものから書かれていますから、最初に「砂糖」とあれば、
これはチョコレートというより、チョコレート風味の砂糖のかたまりと考えたほうがいいでしょう。

それに対してカカオ70%のチョコの場合、最初に「カカオマス」と書かれています。
これが本来のチョコレートであり、脳のためを思うなら、こちらを買って食べるほうがベターです。
いずれにしても食べすぎには注意しましょう。

では、ここで問題です。

チョコレート菓子で有名な「きのこの山」と「たけのこの里」は、どちらが血糖値を上げやすいでしょうか?

正解は「きのこの山」です。その理由は、2つの原材料をくらべたとき、「きのこの山」には「異性化液糖」という甘味料が含まれているからです。

異性化液糖は、別名で「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウ糖果糖液糖」「高果糖液糖」「コーンシロップ」と表示されることもあります。
飲料やお菓子の中にこれらの甘味料が入っていたら注意が必要です。

異性化液糖は、トウモロコシを原料としてつくられるブドウ糖と果糖の混合液です。
1970年代からアメリカで大々的に使われるようになり、アメリカ人の肥満を招いたともいわれています。
異性化液糖が現代人の食生活にそれほどすさまじい影響を与えたのはなぜでしょうか。
それは、異性化液糖が非常に安いうえに、加工しやすく、さらにとても強い甘味をもつという特徴があり、
食品を製造する企業にとって、とても使いやすい原材料であったためです。

しかし摂取する方にとっては、異性化液糖は「禁断の糖」です。
血糖値が上がりやすいだけでなく、満腹感が得にくく、脂肪になりやすいことに加えて、大量に摂取してしまうのですから、肥満になるのも道理です。

異性化液糖とともに用心したいのは、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKといった人工甘味料です。
これらは砂糖の100~600倍という甘さがあるのに、エネルギーはゼロ(ゼロカロリー)という特徴を持っています。

ゼロカロリーだから、肥満予防になると思ったら、大間違い。こうした人工甘味料を摂取しても、血糖値が上がり、インスリンが分泌されます。 先述したように、インスリンにはブドウ糖を全身の細胞に送り込む働きがありますが、インスリンの分泌量が多くなると、
ブドウ糖は脂肪細胞にためこまれて脂肪になってしまうのです。

さらに、こうした人工甘味料を摂取しすぎると、甘味に鈍感になってしまうため、エネルギー摂取量が増えたり、
甘味中毒になったりする危険性もあります。
つまり、ゼロカロリーだからと侮って摂取しすぎると、脳が常に甘い物を欲しがる依存状態になってしまうのです。

ブドウ糖は脳を活性化するためには欠かせない栄養素ですが、ここまで見てきたように、摂取の仕方を誤ると、逆にダメージが大きくなります。

それを避けるためにも、今後、食品や飲料を買うときは原材料や成分表示を確認することを心がけましょう。

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