働き方やキャリアに対する価値観が多様化している昨今、従来の権力のあり方も変化を迫られ、トップダウン型ではなく風通しのいいフラットな組織を目指す傾向が社会全体で強くなっています。この1年で、権力の偏在が原因で生じた不祥事に関するニュースも相次ぎました。 トップダウン型のシステムには、権力をもたない層の意見が重視されにくいためメンバーのモチベーションが上がりにくく、組織全体の任務遂行能力を高める「フォロワーシップ」が醸成されづらいという難点があります。 また、現代は変化が激しく先の見通しが極めてつきにくい「VUCA」の時代です。強大な権力を前提とする旧来のトップダウン型の組織では、多様な意見が取り込まれないために意思決定の質が低下し、不確実な状況に対して脆弱な体質になってしまいます。 だからこそいま、オープンでフラットなコミュニケーションと民主的な意思決定を重視する新しいタイプの組織への関心が非常に高まっています。ビジネス界で話題を集めている「ティール組織」は、新時代の組織形態の最たる例でしょう。 しかし、どのような形の組織においても、「決断する」というマネジメントは必要不可欠です。さもないと、チームをまとめて大きなミッションを成し遂げることは困難だからです。それゆえ、フラット型システムのリーダーであっても必要に応じて自らが持つパワーを発揮し、組織を1つに統合しなければなりません。 そこで、リーダーによるパワーの使い方を考えるうえで重要になるのが、世界中のビジネスパーソンから熱い注目を浴びているEI〈Emotional Intelligence〉(エモーショナル・インテリジェンス/感情的知性)です。実際に、ビジネスの現場でのリーダーシップも、EIを重視したものに変化しつつあります。
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