TPSとは「ジャストインタイム」と「自働化」という二つのしくみから出来ていて、「かんばん」という紙片を用いて部品を後工程が前工程に引き取りにいく。また、すべての作業に「標準作業」を決めて、徹底した「ムダ取り改善」を全員で実施する。などなど、TPSをいかに実践していくのかの方法論が、今までも、今も世界中に流布されています。
しかし、トヨタ自動車においてTPSは、そのような方法論的TPSだけで実践されてはいません。
儲けるためのトヨタ生産方式は、いわゆる方法論としての「トヨタ生産方式」」と「トヨタの生産性評価システム」の二つのしくみによって実践されています。
会社全体の改善活動の目的を明確にするためには、その活動を何で評価するのかが重要です。その指標が明確でないと、活動の方向性があいまいになり、また活動の成果を正しく測定することもできません。みんなの頑張りを正しく評価できません。
そうすると、「さらなる改善のエンジン」もない状態になります。
さらに、その指標は、現場の一作業者から経営者に至るまで同じように共有されていて、現場の改善によるその指標の変化が、直接的に経営の収益に結びつくものでなくはなりません。
今日、方法論としてのTPSは世の中に溢れていますが、その成果を測定する「トヨタの生産性評価システム」は世の中に殆ど知られていません。今日はその「もう一つのTPS」について、その概要をお話しできればと思っています。