ROS(Robot Operating System)は、ロボットシステムの開発を加速する新世代のプラットフォームとして急速に普及が進んでいます。ROSには様々な側面がありますが,その本質はノード/部品間の出版購読型の通信方式にあります。第二世代となるROS 2では、自律的に通信相手の探索と通信経路の確立ができるDDS(Data Distribution Service)が採用されています。
講演者らは、ROS 2の通信技術と組込み技術の融合を図る試みである"mROS 2"についての研究開発を進めています。ロボットシステム開発に組込み技術を導入することで、通信性能として応答性およびリアルタイム性の向上、またシステム全体の消費電力の削減といった貢献が期待できます。mROS 2の狙いは、ROS 2/DDSの利点である通信の自律性と柔軟性の高さを、組込み機器にもそのまま活かすことです。ロボットシステムに組込み技術の貢献をもたらすだけでなく、IoT分野にROS 2/DDSの利点を展開することが期待できます。
本講演では、ROS 2そのものの基礎知識の解説から始め、組込み技術の導入に関する種々の取り組み、そしてmROS 2がもたらすIoT開発の将来像までをお示しします。