石川雅恵

UN Women(国連女性機関)日本事務所 所長

国連本部及び地域・国事務所において約20年間、資金調達とパートナーシップス構築業務に従事。1998年より日本政府国連代表部専門調査員として、ニューヨークにて女性の人権にかかわる事案を担当。その後UNICEF本部でアシスタントプログラムオフィサーとして子供の性的搾取撲滅に取り組む。2003年よりUNFPA(国連人口基金)に資金調達官として、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド及び韓国との関係調整を担当。その間、組織内短期赴任制度によってUNFPAシエラレオネ国事務所にて代表補佐、アジア・太平洋地域事務所にて資金調達とパートナーシップスに関する顧問を務め、また1年間国連事務局人間の安全保障ユニットに資金調達官として出向。2017年10月より現職。兵庫県立神戸高校、関西学院大学社会学部を卒業後、オレゴン大学国際学部学士、神戸大学大学院国際協力研究科法学修士取得。

2021世界平和経済人会議ひろしま 東京セッション 分断を癒し、乗り越える行動とは ~対話、共感、ソフトパワーによる平和への貢献が変える経済、社会、そして世界~

2021/10/08 〜 2021/10/08
  • 国内講演者
  • 他所属
  • ディスカッション
  • 管理職

石川雅恵

UN Women(国連女性機関)日本事務所 所長

多様性と包摂性ある経済をつくる ~Diversity & Inclusionを原動力に~

「分断」の対極にある概念は、「包摂」である。異なる背景を持つ者同士が平和な関係性を構築するには、多様性の包摂が欠かせない。しかし現代の日本は、まだ「多様性を包摂する社会」であるとは言いがたい。日本では男女雇用機会均等法や女性活躍推進法が施行されてきたが、例えば男女の働き方にはまだギャップが存在し、経営層や国会議員に占める女性の割合は著しく低い。またLGBTの方々への制度的・社会的な理解は十分とは言えず、外国人の住みやすさや仕事環境には課題が多い。障がい者の方々の活躍の機会もまだまだ多くはない。経済格差をはじめ、教育、地域、世代などの格差により、自らの潜在力を社会の中で発揮し切れていない方々も多い。しかし、多様性と包摂性のない社会は単一思考に陥りやすく、社会の創造性が引き出されなくなる。経済のエコシスエムにおける単一思考は、経済成長の機会を著しく奪うことになる。一人ひとりには創造性があり、多様な個人が集まれば社会の創造性は飛躍的に増す。ラベリングを外し、多様性の中で個として力を発揮できる社会の構築が、経済のさらなる発展には欠かせない。日本経済に「多様性の包摂」を定着させるとともに、格差や分断を修復して活力と創造性をもたらすにはどう取り組んだらよいか。一人ひとりの「マインド・チェンジ」にも焦点を当てながら、その方策を考える。