隈元美穂子氏
国連訓練調査研究所(ユニタール)持続可能な繫栄局長兼広島事務所長
福岡県立筑紫丘高校卒業。米国ウエストバージニア大学心理学部卒業。米国コロンビア大学にて国際公共政策修士号取得。約20年に及ぶ国際連合勤務。その間、国連開発計画(UNDP) ニューヨーク本部、ベトナム事務所、サモア太平洋地域事務所、インドネシア事務所にて活動。2014年より国連ユニタール(国連訓練調査研究所)広島事務所長。2019年7月から持続可能な繁栄局長。気候変動適応を含む環境問題、防災、ジェンダー、平和構築などの分野において、アフリカ、中東、アジア、太平洋諸国を支援。国連以外に九州電力企画部に6年間勤務。
2021世界平和経済人会議ひろしま 東京セッション 分断を癒し、乗り越える行動とは ~対話、共感、ソフトパワーによる平和への貢献が変える経済、社会、そして世界~
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隈元美穂子 氏
国連訓練調査研究所(ユニタール)持続可能な繫栄局長兼広島事務所長
紛争とサプライチェーン ~公正な取引を踏まえて~
途上国を中心に起こる紛争と、私たちの日常生活で購入する物品は意外なところで繋がっているケースがある。たとえば貴金属・宝石は、紛争の片方の勢力の資金源になったり、それが子どもの労働により掘り出されている場合がある。また紛争には繋がらずとも、途上国においてはコーヒーなどの嗜好品や農作物が異常に安い労働力により生産され、それらの輸入品を日本で購入した場合、途上国の農業者にフェアな賃金が支払われず、大きな中間搾取が行われていることがある。輸入品をただ単に「少しでも安く」、「便利だから」という理由のみで購入することが、実は地球的規模では紛争を助長したり、生産国の住民を搾取する結果になることは多い。世界は物とお金で繋がっており、この点で、サプライチェーンは「平和」とも繋がっているのである。したがって、いわゆるエシカル・フェアトレードを先進国の日本で推進することは、途上国の平和構築に大きな影響を及ぼすことになる。この観点から、エシカル・フェアトレードを私たちの身近な日常に溶け込ませるために私たちには何ができるか。消費者としての個人と、供給者としての企業それぞれの立場から議論したい。