宇野重規

東京大学社会科学研究所 教授

東京大学卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。 博士(法学)。千葉大学法経学部助教授、東京大学社会科学研究所助教授、同准教授を経て2011年4月より現職。その間に、フランス社会科学高等研究院、コーネル大学ロースクールで客員研究員を務める。 19世紀フランスの政治思想家トクヴィルを出発点に、フランスとアメリカの現代政治哲学を研究し、民主主義、自由と平等、社会的紐帯、宗教などの問題を考えてきた。近年は所属の社会科学研究所の全所的共同研究プロジェクトの希望学に参加したことをきっかけに、日本各地で地域調査を行う。また、現代日本政治に関する解説・評論記事も多数執筆している。 主な著作に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』(渋沢・クローデル賞LV特別賞、東京大学出版会)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(サントリー学芸賞、講談社学術文庫)、『<私>時代のデモクラシー』(岩波新書)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『西洋政治思想史』(有斐閣アルマ)、『保守主義とは何か』(中公新書)、『未来をはじめる「一緒にいること」の政治学』(東京大学出版会)、『民主主義とは何か』(講談社現代新書、近刊)などがある。

INNOVATIVE CITY FORUM 2021

2021/11/22 〜 2021/11/25
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  • 教育・研究機関
  • 教授

宇野重規

東京大学社会科学研究所 教授

科学と社会の対話の未来-情動優位時代に「合意形成」は可能なのか

社会の不確実性の高まりに伴い、科学によって問うことはできるが科学だけでは答えることのできない問題群、すなわちトランスサイエンス領域が拡大する中で、科学と社会をつなぐ営みとして市民参加の様々な取り組みがこれまで推進されてきました。コンセンサス会議や世界市民会議、近年ではバルセロナからはじまったデシディム(Decidim)などその取り組みは世界で広がり、多くの市民が科学と社会の対話に参加してきました。 一方で、TikTokやインスタグラム、YouTubeなどビジュアル先行のソーシャルメディアでは、論理を超えた直感的な反応が次ぎの反応を生むといった炎上空間が広がり、わたしたちを刺激し続けています。こうした情動優位のメディア空間が主流となっていく社会において、じっくりと相手の話を聞き意見を交わす「合意形成」は、これまでの価値を持ち続けていくことができるのでしょうか。 本セッションでは、こうした根源的問いをアカデミズムの立場のみならず、実践的な活動をシェアした上で、「合意形成」の現代的意味を問い直しつつ科学と社会の対話の未来について議論します。