石田晋哉

(株)デンソー クラウドサービス開発部 SREチーム 担当課長

通信機器メーカーで通信ネットワークの制御・設計に関する研究開発に従事した後、2018年にデンソーに入社。フリートオペレーションサービス、Factory-IoT基盤、運転診断アプリなどの開発に従事するほか、アジャイル開発の導入支援、QAプロセスの改善、インナーソース活動などを通じて技術・文化両面で社内のクラウドサービスの開発現場の改善に取り組んでいる。博士(情報科学)

Interop Tokyo カンファレンス 2022

2022/06/15 〜 2022/06/17
  • 国内講演者
  • 民間企業
  • ディスカッション
  • 管理職

石田晋哉

(株)デンソー クラウドサービス開発部 SREチーム 担当課長

モビリティサービスにおける新しいID管理 ~分散型/自己主権型ID~

ユーザーが安心して活用できるモビリティ情報基盤の社会実装を進める上で、「情報の提供側にとっての情報プライバシー」と「情報の受け取り側にとっての情報の正確性」は重要な課題です。 エンタープライズネットワークでは境界型防御からゼロトラストアーキテクチャ(ZTA)がデファクトのセキュリティアーキテクチャに移行しつつあり、また車がインターネットに接続されるコネクテッド時代のモビリティシステムも同様に、ゼロトラストアーキテクチャの考え方の導入が検討されています。しかしエンタープライズネットワークではさまざまなソリューションが登場して普及フェーズにある一方で、モビリティ領域では普及が進んでいません。その理由の一つは、ゼロトラストアーキテクチャの根幹である「ID管理」の困難さにあります。エンタープライズネットワークでは自社の限られたリソースのみを対象にIDを管理すればいい一方で、モビリティの場合は①複数の事業体での横断的なID管理(Decentralized Identity:DID)が必要であること、②無数のエンティティがID管理の対象となること――という2つの理由から、従来の単一事業者によるID管理は困難と考えられています。 本セッションではモビリティサービスを想定しながら、そのような困難さを打破するための新しいID管理の概念を示します。具体的には、「モビリティゼロトラスト基盤」のプロトタイプ――自己主権型ID(Self-Sovereign ID:SSI)技術を基礎とし、各エンティティがそれぞれのID情報を自身で管理――について扱います。