このレポートは、2025〜2026年開催の「エンゲージメント」に関連する講演をもとに作成されています。掲載講演の関心は、出社回帰に伴う交流施策から、人的資本経営を支える働きがい・働きやすさとデータによる施策運用へ移っています。一貫する問題意識は、社員・職員の声と日常の体験を組織づくりに結び付けることです。近年は特に、人事データを用いた課題の可視化と、個別育成・評価の運用を扱う議論が増えています。
2026年(人的資本経営とデータに基づく個別対応)
人的資本経営への関心が高まる中、従業員をコストではなく企業価値を支える資本として捉え、定着、育成、働きがいを経営課題に結び付ける視点が重要になっています。人材獲得競争や人手不足を背景に、働きやすい制度を整えるだけでなく、社員から選ばれる組織であることも課題となります。人事領域では、紙や個人の経験に依存した評価・育成から、人事データを蓄積して継続的に施策を見直す運用への移行が進んでいます。エンゲージメント施策には、全社共通の制度設計と、個人の意向や状態を把握する細かな対応の両立が求められます。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されている講演では、働きがいと働きやすさを組み合わせ、データで課題を可視化して施策を運用する論点が中心となっています。掲載講演で最も多く登場する山田博之氏は、株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース 執行役員として「【第1部】社員エンゲージメントを高める 7つの方法」を扱い、続いて執行役員・ディレクターとして「【人的資本経営の核心】社員エンゲージメントを高める働きがい×働きやすさ~働きやすさ編~」と「【人的資本経営の核心】社員に「選ばれる」組織を創るエンゲージメント向上の7要素」を掲げています。株式会社カオナビでは、那須大氏が「【第2部】エンゲージメント課題を可視化させ質高く施策運用する方法とは」を語り、保田拓斗氏は新機能「カオナビ エンゲージメント」を紹介しています。現場事例としては、医療法人慈公会 LeMonみんなの病院の松本将輝氏が、制度ゼロから紙運用を経て人事評価をデータ化するまでの過程を、現場主導とエンゲージメント向上の視点で紹介しています。横須賀市役所の分須照氏は、「ラーニングライブラリ」によるeラーニング環境の全庁展開と、「スマートレビュー」の意向調査を通じた所属長による部下の希望のタイムリーな把握を取り上げ、官公庁における育成・エンゲージメントの実践を示しています。
2025年(出社回帰をコミュニケーション機会へ転換)
働き方の選択肢が広がった後、オフィス出社の意義を改めて設計することが企業課題となる時期です。単に出社を求めるだけでは、従業員にとって通勤や時間の負担が先行しやすく、職場で得られる交流、相談、所属感をどう高めるかが問われます。オフィスは執務空間にとどまらず、部門や立場を超えた接点を生む場として再評価されています。食事や飲料といった日常的な体験は、制度説明よりも自然な会話の契機をつくる施策として位置付けられます。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されている講演では、出社回帰をエンゲージメント低下のリスクとして扱うのではなく、コミュニケーションを活性化する機会へ転換する論調が見られます。サントリービバレッジソリューション株式会社の仁賀正典氏と松本俊氏、jinjer株式会社の松浦裕甫氏と池下大輝氏は、「出社回帰時代のエンゲージメント施策 ~「社長のおごり自販機」が作るコミュニケーション活性化の秘訣とは~」で、「社長のおごり自販機」を切り口に職場内交流の活性化を扱っています。別の掲載講演では、株式会社みんなの社食の齋藤武仁氏、WeWork Japanの遊上和義氏、jinjer株式会社 人事総務本部 本部長の末廣征氏が、”社食”を通じて「会社に来たくなる」オフィス空間をつくる方法をテーマに掲げています。ここでは、出社の目的を管理や場所の提供に置くのではなく、飲食やコミュニティを介して社員が関わり合う体験を設計することが、エンゲージメント施策として語られています。
全体を通じて、掲載講演では株式会社フィールドマネージメント・ヒューマンリソース、株式会社カオナビ、jinjer株式会社が繰り返し登場し、エンゲージメントを人的資本経営、人事データ、職場コミュニケーションをつなぐ領域として位置付けています。議論の中心は、出社時の交流機会の設計から、働きがい・働きやすさ、評価、育成、意向把握を統合的に運用する方向へ移っています。
※登壇者の氏名・所属・役職は講演開催当時の情報です。現在の所属・役職とは異なる場合があります。
編集者:ビズスタAI編集チーム
データソース:ビズスタ掲載中のエンゲージメントの調査レポート関連の講演情報
「ラーニングライブラリ」を使ったeラーニング環境の整備と全庁への展開 「スマートレビュー」での意向調査で実現した、所属長による部下の希望のタイムリーな把握
紙ベースの人事評価からデータ化に至るまでのリアルなプロセスを、現場主導の取り組みやエンゲージメント向上の視点とともに紹介します。