社内DXの成功事例に関する調査レポート【2026年最新】

社内DXとは、社内の業務、意思決定、働き方をデジタルで見直し、全社の成果につなげる取り組みです。紙や属人的な運用の解消に加え、部門ごとに分断されたデータや人材をつなぎ、変化に対応する力を高めることが求められています。生成AIの活用が広がる今、ツール導入にとどまらず、現場定着と新たな価値創出まで設計することが大企業の課題です。

このレポートは、2020〜2026年開催の「社内DX」に関連する講演をもとに作成されています。掲載講演の関心は、コロナ禍の業務継続から、全社基盤、現場内製化、生成AIによる価値創出へ移りました。一貫しているのは、経営と現場をつなぎ、業務・人材・データを変革する問題意識です。近年は特に、LLM(大規模言語モデル)やAI-OCR(画像から文字を読み取る技術)で、非定型業務の標準化や新規事業化を進める議論が増えています。

2026年(AIファーストで社内DXを「全社の価値創出」へ変える)

2026年の社内DXで企業が直面している中心課題は、個別業務のデジタル化ではなく、AIとデータを全社の意思決定や新規事業に接続することです。ビズスタに掲載された講演からは、生成AIを試す段階を越え、既存システムや部門ごとに分散したデータ、人材、業務プロセスをどう一つの価値創出サイクルに組み込むかが問われていることが分かります。IPA「DX動向調査」でも、デジタル人材や全社的な変革、既存システムの扱いは継続的な課題として挙げられています。従来の社内DXは、脱ハンコ、ワークフロー改善、FAQやナレッジ共有、部門単位のアプリ開発など、現場の非効率を減らす施策が中心でした。しかし、それだけではデータが蓄積されても活用主体が限られ、AIを導入しても実験や局所的な自動化で止まりやすくなっています。

そこで取り組みは、ツールを導入して業務を置き換える方向から、AIが働けるデータ基盤と組織の仕組みを同時に整える方向へ変わっています。株式会社デンソーの事例は、その変化を基盤面から示します。オンプレミスからクラウドへデータ基盤を進化させ、Snowflakeを中核に据えながら、データと人をつなぐ全社DXの土台として再設計しています。重要なのは、単なるクラウド移行ではなく、過去の課題を踏まえて現在の基盤を整え、次の価値創出まで見据えている点です。ビズスタの掲載概要には定量的な削減効果は記載されていませんが、社内DXの評価軸が「システムを新しくしたか」から「全社でデータを使える状態をつくったか」へ移ったことが読み取れます。

もう一つの転換は、AIを社内業務の効率化だけでなく、新規事業と結び付けることです。株式会社NTTドコモでは、社内新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」の中でAIを活用し、2024年4月にスピンアウトした株式会社SUPERNOVAとのオープンイノベーションにもつなげています。株式会社SUPERNOVAの法人向けAIサービス「Stella AI」を社内DXに活用することで、大企業が自社開発だけに閉じず、外部に生まれた技術を取り込みながら導入ノウハウを蓄積する形へ進んでいます。ここで示される成果は数値ではなく、AI活用を新規事業創出、スピンアウト、社内導入の循環に乗せたことです。AIによって、従来は人が検索・整理・判断していた知識活用の一部を支援し、導入の試行から事業化までを近づけられるようになった点が最前線です。

複数の事例に共通するのは、AIを単独の便利な機能として扱わず、データ基盤、現場の利用、事業開発を一体で設計していることです。前年まで目立った「現場に使ってもらう」「人材を育てる」「個別業務を効率化する」という論点は、2026年にはAIファーストの全社運営へ再定義されつつあります。一方で、掲載情報からは離職率や工数削減などの定量成果までは確認できず、効果測定とガバナンスはなお課題です。翌年は、AI導入の有無ではなく、基盤整備から現場定着、新規事業化までをどの指標で評価し、全社へ拡張できるかが問われるでしょう。

2025年(部門最適からAIでつなぐ全社DX)

2025年の社内DXで企業が直面していた中心課題は、デジタルツールを導入しても、データと業務が部門ごとに分断され、全社の意思決定や現場の生産性に結びつかないことでした。ビズスタに掲載されている講演では、部署ごとに異なるツールを使い、一部の部門にしかデータ活用が広がらない状況が繰り返し示されています。IPA「DX動向調査」でも、DXを進めるうえでデータ活用やデジタル人材の確保が課題として挙げられており、2025年は「導入するか」よりも「全社で使い続けられるか」が問われた年です。

それまでの対策で足りなくなったのは、個別業務のデジタル化だけでは全社の業務品質をそろえられない点です。生成AIを導入しても、手書き文書や非定型帳票がデータ化されなければ、サプライチェーンなどの重要業務は従来のマニュアルや担当者の経験に依存したままです。FAQやナレッジも、単に蓄積するだけでは現場が参照できず、顧客対応と社内業務の改善をつなぐ情報基盤にはなりません。2024年までに目立った全社DX戦略、ノーコード、アプリ開発といった論点から、2025年は「使えるデータをどう作り、組織にどう定着させるか」へ焦点が移りました。

変化を象徴するのが、ドーモ株式会社が示した、統一されたプラットフォーム上で部門横断の意思決定を促す考え方です。データ基盤の構築とデータ人材の育成を別々に扱わず、同じデータを全員が見て判断できる環境づくりを一体で進めようとしています。テクマトリックス株式会社の事例では、FAQやナレッジをサポート部門だけの資料ではなく、顧客体験と社内DXをつなぐ共通の情報源として整備し、情報の書き方や運用まで見直す方向が示されました。さらにアビームコンサルティング株式会社は、LLM×AI-OCRによって非定型帳票や手書き文書をデータ化し、属人的な処理を標準化する道筋を示しています。いずれも成果は、概要上、全社での意思決定、ナレッジ活用、業務の標準化にまで取り組みを広げた段階であり、削減時間などの定量効果までは確認できません。

複数の講演から見える共通点は、DXの主役がツールから「データが流れ、知識が更新され、現場が使う仕組み」へ移ったことです。導入効果を一部業務の効率化で測るのではなく、部門横断の判断、問い合わせ対応、帳票処理といった日常業務に組み込み、属人性を減らすことが重視されています。翌年には、データ基盤を企業の中核資産として発展させる動きや、AIを活用した新規事業・組織外との連携が前面に出ていくと考えられます。2025年は、その前提となる社内データとナレッジの整備へ、企業の関心が深く移った年でした。

2024年(生成AIで全社DXを現場の内製へ転換)

2024年の社内DXで企業が直面していた中心課題は、個別業務のデジタル化を進めても、全社の成果や現場の定着につながりにくいことでした。IT人材が不足するなか、経営層がDX戦略を描くだけでは事業部門が動かず、部門ごとのシステムやデータが分断される問題も残っています。IPA「DX動向調査」でも、DXを担う人材の確保・育成や、全社的に変革を進める組織能力が課題として挙げられています。前年まで目立った脱ハンコ、ワークフロー、クラウド、ローコードといった対策は、業務の一部を効率化する一方、誰が継続的に改善するのか、現場の利用をどう広げるのかという点では足りなくなっていました。

そこで2024年は、外部ベンダーにシステム導入を任せる発想から、業務を知る現場が自らつくり、データを使って改善する発想へと軸足が移りました。ノーコード・ローコードは単なる開発費削減の道具ではなく、現場の内製化を支える基盤として捉えられています。さらに生成AIによって、アプリの設計やデータ分析の専門知識を補い、対話形式で開発・可視化を進める方向が強まりました。全社DXの成否も、経営計画の有無だけでなく、各事業・現場が自立して施策を回せる管理方法、人材育成、利用者のUXまで含めた仕組みづくりで判断されるようになっています。

この変化を最も端的に示すのが、株式会社クレディセゾンの5年間の取り組みです。同社は2019年にゼロから内製開発チームを立ち上げ、5年間でチームを150名超、開発したシステムを60超まで拡大しました。さらに情シス部門と内製開発部門を同一事業部に統合し、現在は「全社員のDX」を掲げて市民開発者の育成や生成AI系ツールの内製に進んでいます。これは、DXを一時的なプロジェクトではなく、開発能力と利用者を社内に蓄積する経営基盤へ変えた事例です。一方、アルティウスリンク株式会社は社内ヘルプデスクにPKSHA Chatbotを活用し、完全ノンボイス化を実現しました。問い合わせ対応をAIとオペレーションの組み合わせで再設計した点に、生成AI時代の社内業務改革の具体性があります。日本情報通信株式会社では、営業活動の見える化を題材に、生成AIと連携したAppSheet、Lookerを用いてアプリ開発とデータ可視化・分析を短期間で改善する進め方が示されました。数値成果が示されていない事例でも、開発と分析の入り口を現場に近づけたことが成果です。

複数の事例に共通するのは、ツールを導入して終わるのではなく、内製人材、現場の利用、データ活用、運用改善を一体化していることです。とりわけ生成AIは、従来なら専門人材や開発部門に集中していたアプリ作成や分析の一部を、業務部門が試行できる水準まで引き下げました。ただし、AIだけで全社DXが進むわけではなく、権限設計やデータ品質、活用ルール、現場が使い続けるUXが必要です。2025年以降は、生成AIの導入件数を競う段階から、社内ナレッジや非定型業務をどこまで標準化し、属人的な作業をどの範囲で自動化できるかを測る段階へ進むと考えられます。

2023年(DX疲れを越え、社内業務から全社基盤へ)

2023年の社内DXで企業が直面していた中心課題は、デジタル化の着手ではなく、部門ごとの取り組みを全社の成果へつなげることでした。クラウドやSaaSの利用が広がる一方で、システムやデータがサイロ化し、運用管理、部門間連携、ガバナンス、セキュリティが複雑になっていました。加えて、導入したツールを現場が使わない、DXを担う人材が不足するといった問題も顕在化しています。IPA「DX白書」でも、全社的な変革を阻む人材・組織・データ活用の課題が指摘されています。厚生労働省「厚生労働白書」も、デジタル化に対応する人材育成を重要な論点として挙げています。

それまでの対策は、紙や印鑑をなくす、個別業務をシステム化する、情報システム部門が先行してツールを導入するといった、効果の見えやすい局所改善が中心でした。しかし、導入部署だけが使い、他部署には浸透しない状況では、全社DXの効果は限定されます。データを保管できても業務や設計に再利用できなければ、単なる電子化にとどまります。2023年は、こうした「導入したのに変わらない」状態を抜けるため、現場部門が主体となる推進、共通基盤の整備、利用定着までを一体で設計する方向へ対策が変わりました。

その変化を端的に示すのが、株式会社赤ちゃん本舗の取り組みです。総務・法務部門が情報システム部門に依存せず業務デジタル化を主導し、システム導入の検討開始から7カ月で経費申請などをデジタル化、業務リードタイムを50%削減しました。これは、社内DXをIT施策ではなく業務改革として扱った成果です。横河電機では、社内のグローバルセキュリティ強化で得た経験をIT/OT SOCサービスへ展開し、内部のDXを外部向けサービスに転換しています。日立造船株式会社も、全社DXの一環としてDX人材育成とBoxによるナレッジ共有を組み合わせました。三つの事例が示すのは、効率化だけでなく、社内で蓄積した仕組みや知見を全社資産へ変える発想です。

共通しているのは、個別ツールの導入から、業務・人材・データ・セキュリティを結び付ける経営基盤づくりへ重心が移ったことです。ローコード開発も、簡易な業務改善に限らず、ワークフローや帳票、BPO基盤まで対象を広げ、現場主導の開発を現実的にしました。2023年の潮流は、PoCや脱ハンコで止まらず、利用部門を増やし、標準化し、守りの基盤を整えながら成果を横展開することでした。翌年はこの基盤の上で、生成AIやノーコードを活用し、非定型業務やナレッジ活用まで変革対象が広がっていきます。

2022年(PoC疲れを越える全社DX、人材と現場実装への転換)

2022年の社内DXで企業が直面していたのは、デジタル技術の不足よりも、試行段階から全社変革へ移れないことでした。PoCを重ねても本番業務に定着せず、部門ごとの効率化にとどまり、既存の企業文化や業務プロセスが変わらないという停滞です。加えて、出社とテレワークが併存するなかで、社員やチームが自律的に生産性を高める仕組みも求められました。IPA「DX白書」でも、DXを担う人材や組織の確保、経営と現場をつなぐ推進体制が課題として挙げられています。ビズスタに掲載された講演からは、2022年が「何を導入するか」より「どう全社に根付かせるか」が問われた年だったことが読み取れます。

それまでの対策は、紙の削減、個別システムの導入、特定部門の業務効率化など、効果を出しやすい領域から始めるものでした。しかし、業務をシステムに合わせるだけでは、現場の負担や既存業務との不整合が残ります。法改正対応をきっかけに新しい仕組みを入れても、その場しのぎになれば、全社の働き方や意思決定は変わりません。そこで取り組みは、単発のデジタル化から、経営トップの関与、現場参加、組織・制度・人材育成を組み合わせる方向へ変わりました。経済産業省「デジタルガバナンス・コード」が示すように、DXは経営課題として位置づけ、戦略と実行体制を一体で整える段階に入っています。

その変化を象徴するのが、全社変革を人材と文化の問題として扱った事例です。富士通株式会社の「フジトラ」は、IT企業からDX企業への転換を掲げ、現場が主役となる全員参加型の活動として、変革人材の育成とカルチャー変革を進めました。パナソニックホールディングス株式会社の「PX」も、各事業会社のDX支援とグループ共通のIT経営基盤の底上げを同時に進め、実行過程で課題を捉え直しています。さらにサッポロビール株式会社を中核とするサッポログループは、トップの全社DX推進宣言を起点に、人材、組織、IT環境、業務プロセスを一体で整備しようとしていました。これらは、ツール導入そのものではなく、社員が変革を実践できる状態をつくることを成果と捉えた点に重要性があります。

複数の事例に共通するのは、DX推進部門だけに任せず、経営の意思を現場の業務へ落とし込んだことです。経理のように全社員が関わる業務を入口にする発想も、利用者の裾野を広げ、DXを日常業務へ浸透させる試みといえます。2021年に目立った個別最適やアナログ業務からの脱却は、2022年には全社の人材・文化・基盤を変えるテーマへ再定義されました。翌年以降は、この土台の上で、ローコード、データ基盤、セキュリティ、ナレッジ共有など、現場が継続的に改善できる仕組みへ焦点が移っていきます。

2021年(脱ハンコの先へ、社内DXを全社変革に変える)

2021年の社内DXで企業が直面していた中心課題は、紙や押印といったアナログ業務を残したまま、テレワークや迅速な意思決定に対応しなければならないことでした。ビズスタに掲載されている講演では、申請・承認、会議、営業、情報共有など、日々の業務プロセスそのものが変革の対象になっています。背景には、既存システムや業務慣行がDXの障壁になるという経済産業省「DXレポート」の指摘や、デジタル人材・組織のあり方が課題になるというIPA「DX白書」の問題意識があります。コロナ禍は導入を急がせましたが、単に出社せず仕事ができる状態をつくるだけでは、全社的な成果には届きませんでした。

それまでの対策に足りなかったのは、紙を電子化するだけで業務のルールや責任分担を見直す視点です。ワークフローを導入しても、複雑な社内規程や部門ごとの例外処理を温存すれば、デジタル上にアナログな承認を移すだけになります。また、部門単位で個別最適を進めると、営業改革やバックオフィス効率化が事業成果につながりにくくなります。2021年の講演では、DXをIT部門だけの導入施策から、経営層と各部門が関与する業務・組織の再設計へと捉え直す動きが目立ちました。顧客資産を起点に全社を統合することや、データと組織を一体でマネジメントすることが、次の論点になっています。

その変化を具体的に示すのが兼松株式会社です。年間14万枚の紙、関係者が並ぶ欄外ハンコ、3,000パターンに及ぶ複雑な規程を前に、単純な電子承認ではなく、経営層や各部門を交えた規程の再設計に踏み込みました。ワークフローシステム「HI-MAWARI」と経営会議機能「HI-Meetings」を開発し、社内決裁の迅速化と完全ペーパーレス化を実現しています。この事例が示すのは、社内DXの成果がツールの導入ではなく、意思決定の仕組みを変えた結果として現れることです。LUFLOS株式会社も、売上が低下する事業環境のなかで先にマネジメント改革を実施し、宝くじ販売の売上1.3倍を達成しました。その後にデジタル化を進めた点は、DXを先に置くのではなく、経営課題と実行体制を整えてからデジタルを使う順序を示しています。

複数の掲載情報から読み取れる共通点は、2021年の社内DXが「脱ハンコ」から「全社の変革能力」へ移ったことです。富士通株式会社の取り組みでは、経営主導の「OneFujitsu」のもとで営業改革から着手し、大企業自身も部門間の壁や既存の慣行に直面しながら変革を進めていました。つまり成果の範囲は、紙の削減や業務の高速化にとどまらず、経営が優先順位を示し、現場が使い続けられる共通基盤をつくる段階へ広がっています。翌年以降は、こうした全社DXを一過性のプロジェクトで終わらせないため、推進人材の育成、経理など実現可能な領域からの横展開、全社ロードマップへの組み込みが焦点になります。

2020年(コロナ禍で露呈したアナログ経営の意思決定課題)

2020年の社内DXで企業が直面していた中心課題は、デジタル技術の不足というより、急な環境変化に対応できない社内業務と意思決定の遅さでした。データ活用やECなど顧客接点のデジタル化が進む一方、社内には紙、対面、属人的な確認といった旧来の習慣が残っていました。COVID-19によってテレビ会議やテレワークが必要になり、これまで見過ごされていた業務上の分断が一気に表面化したといえます。経済産業省「DXレポート」が示してきた、既存システムや業務慣行が変革の障壁になる構図とも重なります。

それまでの対策では、個別のシステム導入や顧客向け施策だけでは足りなくなりました。データを集めても、部門ごとに管理され、判断に使える形で共有されなければ、変化の速い状況では機能しません。テレワークも、単に会議をオンラインへ移すだけでは、承認、報告、情報検索といった周辺業務が滞留します。掲載された講演で鈴木康弘氏は、社内に残るアナログな習慣を問題として捉え、富永朋信氏は、変化の中で正しい経営判断を行うためのデータ活用や組織のあり方に焦点を置いています。つまり課題は、ツールの導入から経営の判断基盤づくりへ移りました。

企業の取り組みは、業務の一部をデジタル化する段階から、働き方と意思決定の流れを同時に見直す方向へ変化しました。株式会社デジタルシフトウェーブの鈴木康弘氏の論点が示すのは、デジタルシフトをマーケティング部門だけのテーマにせず、社内の習慣そのものを変える必要性です。株式会社Preferred Networksの富永朋信氏の示唆からは、データを蓄積するだけでなく、経営判断に結び付ける仕組みと人の動かし方が重要になったことが読み取れます。総務省「情報通信白書」でも、デジタル活用を支える人材や組織の課題が挙げられており、2020年は全社変革の入口が業務継続に置かれた年でした。

一方、この年の掲載情報から確認できる成果は、社内DXの本格的な効果測定というより、テレビ会議やテレワークの導入が始まり、経営判断や社内業務を変えなければならないという認識が広がった段階です。具体的な削減時間や収益改善を示す個社事例は確認できないため、成果を過大に評価することはできません。ただし、翌年の掲載情報では、アナログ決裁の解消、データと組織の管理、個別最適から全社DXへの移行が前面に出ています。2020年に強制的に始まった業務継続のデジタル化が、翌年には意思決定の高速化と全社改革へつながっていったことが、この年の最も重要な変化です。

全体を通じて、掲載講演では、コロナ禍の業務継続を起点に、脱ハンコや個別業務の効率化から、全社基盤、現場内製化、生成AI・データ活用へ論点が移った構図です。共通するのは、導入効果を局所改善で終わらせず、経営と現場をつなぐ人材・組織・データ・業務の仕組みとして定着させる課題です。

※登壇者の氏名・所属・役職は講演開催当時の情報です。現在の所属・役職とは異なる場合があります。

※本レポートは、ビズスタに掲載された「社内DXの成功事例」をテーマにした講演情報を元に傾向を分析しています。

※市場環境の参照:IPA「DX動向調査」、IPA「DX白書」、厚生労働省「厚生労働白書」、経済産業省「デジタルガバナンス・コード」、経済産業省「DXレポート」、総務省「情報通信白書」

編集者:ビズスタ市場調査チーム

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