会計ソフトとは、会計処理を管理・集計し、帳簿や決算書などの必要書類の作成が行えるように開発された、金銭にまつわる企業の会計業務を行うソフトのことをいいます。会計DX(デジタルトランスフォーメーション)では、会計処理に加えて、経費精算や販売管理、カード・銀行明細との連携、データの可視化までを一体化し、経理業務の効率化と経営判断の迅速化を目指します。大企業では、部門・拠点をまたぐデータの分断や属人的な運用を見直し、全社で活用できる会計基盤を整えることが重要です。
このレポートは、2020〜2026年開催の「会計DXセミナーの講演者」に関連する講演をもとに作成されています。掲載された講演の注目点は、紙や表計算ソフトを中心とした経理作業の効率化から、会計・販売・経費データの連携、さらにAI(人工知能)やAPI(システム同士を連携する仕組み)を活用した管理会計へと移っています。掲載された講演者には、株式会社マネーフォワードの松岡俊氏、山田真哉氏、太田雅也氏、高崎裕太朗氏、上野一也氏がいます。松岡俊氏(株式会社マネーフォワード・執行役員 グループCAO(Chief Accounting Officer)公認会計士)は、「【事例公開】新リース会計基準・早期適用プロジェクトの裏側」で講演しています。山田真哉氏(芸能文化税理士法人・会長 公認会計士・税理士 YouTuber)は、「経理を“戦略脳”に変える会計思考 経理の先にある専門領域と、その先に続くキャリア」で講演しています。太田雅也氏(株式会社チームスピリット)は、「無理なく・面倒なくプロジェクト管理会計をするには 〜赤字案件の撲滅とアサイン最適化を実現するシステム活用〜」で講演しています。高崎裕太朗氏(グローウィン・パートナーズ株式会社・FP & A Creation 2部 部長(公認会計士))は、「AI時代の準備に向けた全社データを活用した管理会計構築のポイント ~全社視点でのプロジェクト収支管理を例に~」で講演しています。上野一也氏(株式会社経理がよくなる・児玉上野税務会計事務所・株式会社 経理がよくなる 代表/児玉上野税務会計事務所 共同代表)は、「会計データを集計・分析・報告で活かし切る!経理の表計算ソフト実践活用術」で講演しています。一貫しているのは、経理業務の負担を減らしながら、正確で timely なデータを経営や現場の意思決定に結び付けることです。近年は特に、AIを用いたデータ活用、新リース会計基準への対応、会計ソフトと販売・経費管理システムをつなぐデータ連携に関する議論が増えています。
会計ソフトは、取引を記録して仕訳や帳簿を作成し、決算書の作成や会計データの集計・分析を支援するシステムです。代表例として、freee会計(フリー株式会社)とマネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)があります。単体では仕訳、帳簿、決算書作成、会計データの可視化などに対応します。周辺サービスでは、freee販売やマネーフォワード クラウド経費、ビジネスカード、銀行明細、証憑との連携によって、販売・経費・支払情報を会計へ取り込めます。
会計DXソフト関連の講演者・各社の取り組み・成功事例がわかるセミナーをピックアップ
2025年は、中田清穂氏(一般社団法人日本CFO協会 主任研究委員・公認会計士)が「過大計上を招きやすい『リースの識別』と『リース期間』」で、新リース会計基準における契約書の確認ポイントや、負債・資産の過大計上を防ぐ実務上の考え方を解説しました。
2024年は、石原健二氏(株式会社セブン銀行 コーポレート・トランスフォーメーション部コーポレートITデザイン室 室長)が「セブン銀行から学ぶ『金融業界の常識を破るチャレンジとイノベーション』の継続に必要なDX戦略」で、新会計システムとしてOracle Fusion Cloud ERPを採用し、全社横断の企業変革とデータドリブン経営を進める取り組みを解説しました。河合利英氏(明治ホールディングス株式会社 グループDX戦略部 業務1グループ長)は「年間54万枚の紙削減!明治が実現した会計証憑の完全ペーパーレス化事例」で、業務プロセスや社内ルールの見直しを含めた会計証憑のペーパーレス化の進め方を紹介しました。
2023年は、加藤純氏(大和ハウス工業株式会社 本社情報システム部 グローバルITグループ グループ長)が「グローバルでの盤石なIT基盤、会計ガバナンス強化を目指して」で、S/4HANAへの移行を通じたグローバル会計・ITガバナンス強化の考え方を解説しました。本多正行氏(株式会社メイコー 執行役員 経理本部 本部長)は「グループ24社の経営管理統合DBを3名で完全内製化」で、会計・処理ルール・予算編成を統一し、Excel中心の集計業務を分析中心へ変革した事例を紹介しました。山田真哉氏(芸能文化税理士法人 会長・公認会計士・YouTuber)は「電子帳簿保存法改正とインボイス制度、取り組み状況はいかがですか?」で、両制度の関連性や実務上の注意点、今後の対応方法をわかりやすく解説しました。
2022年は、和久貴志氏(KDDI株式会社 コーポレート統括本部 コーポレートシェアード本部 副本部長)が「KDDIが目指す会計オペレーション業務のDXとシェアードサービスの取組み」で、システム刷新やAIによる伝票審査、BIツールの活用、グループ共通業務の集約に向けた会計業務改革を紹介しました。
2021年は、湊宏司氏(日本オラクル株式会社 取締役・執行役・副社長・最高執行責任者)が「日本オラクルが自社のデジタルトランスフォーメーションで得た成果」で、人事・会計・サプライチェーン管理などのクラウド化によって自社の業務課題を解決したOracle@Oracleの取り組みを紹介しました。松岡俊氏(株式会社マネーフォワード 執行役員・経理本部本部長・分析推進室室長)は「<経理DX>クラウド会計ソフトを活用したデジタライゼーション」で、クラウド会計を活用した紙業務の電子化や経理部門の業務改革について解説しました。
2020年は、小山晋史氏(freee株式会社 経理部長)が「freeeが目指すバックオフィスの将来像」で、会計freeeの活用事例をもとに、定型業務の自動化と経営に示唆を与えるビジネスパートナー型の経理財務部門への転換を解説しました。
注目の成功事例は、株式会社コイケがfreee会計・freee人事労務を導入し、会計データを全社で共有する「データの民主化」によって、部門ごとの損益把握やコスト意識の向上、決算期の残業削減を実現しました。株式会社山一ハガネがfreee会計・freee人事労務を導入し、月次決算の迅速化や発生主義での処理、部門長によるリアルタイムなコスト把握を実現しました。株式会社錦水館がfreee会計を導入し、部門別の損益や業績データを活用した経営判断によって、粗利益率の改善と経常利益3倍のV字回復を実現しました。オイシーズ株式会社がfreee会計・freee連結会計を導入し、グループ各社の会計データ集計や連結決算を自動化することで、連結決算を従来の1〜2日から即時に短縮しました。株式会社エスワイフードがマネーフォワード クラウド会計・クラウド経費・ビジネスカードなどを導入し、経費申請の差し戻し削減や月初作業の短縮、店舗ごとのコスト意識向上を実現しました。
事業内容や置かれた環境によって有効な打ち手は異なりますが、本レポートをアイデアのヒントとして、会計DXソフトの導入を成功させる一助としていただけますと幸いです。
※登壇者の氏名・所属・役職は講演開催当時の情報です。現在の所属・役職とは異なる場合があります。
※本レポートは、ビズスタに掲載された「会計DXセミナーの講演者の成功事例」をテーマにした講演情報と、各社が公開している導入事例を元に傾向を分析しています。
※導入事例の参照:株式会社コイケ「2年の試行錯誤で辿り着いた、『任せる経営』の本質 物流業4代目がデータの民主化で促す意識変革」、株式会社山一ハガネ「『月次決算25日』が『リアルタイム経営』に変わるまで —— 創業100年企業が会計DXでつかんだ組織変革の本質」、株式会社錦水館「数字に基づく意思決定でコロナ禍の窮地から経常利益3倍のV字回復 創業120年の旅館6代目アトツギの変革」、オイシーズ株式会社「会社規模が1.5倍に拡大したオイシーズが人員削減の上、連結決算も2日から即時へ短縮! つじ田、金子半之助等運営企業のfreee会計活用術」、株式会社エスワイフード「飲食店70店舗の経費精算をDX。申請の差し戻し件数を9割削減し、経理体制のスリム化とガバナンス強化を実現!」
編集者:ビズスタ市場調査チーム