人的資本経営の成功事例に関する調査レポート【2026年最新】

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。人材情報の分散や施策の形骸化が起こるなか、採用・配置・育成・組織文化を一体で見直し、現場の行動と事業成果につなげることが大企業の課題となっています。掲載講演では、人的資本の開示や可視化に加え、経営戦略と人材戦略の接続、従業員のウェルビーイング、AIを活用した意思決定や人材配置への関心が高まっています。

このレポートは、2021〜2026年開催の「人的資本経営」に関連する講演をもとに作成されています。掲載された講演の注目点は、人的資本の開示や制度整備から、人材データを統合するDX(デジタルトランスフォーメーション)、さらにAI(人工知能)による業務・人材・組織の再設計へと移っています。一貫しているのは、人的資本への投資を経営戦略や現場の行動と結び付け、企業価値向上につなげるという問題意識です。近年は特に、AIを活用した人材配置・育成・後継者計画、人的資本ROI(投下した人材資本に対する成果)の可視化、従業員体験(EX)や組織カルチャーの改善に関する議論が増えています。代表的な講演者として、井上英樹氏・株式会社カオナビ・執行役員CPO/プロダクトプランニング本部長「AIが人的資本経営の『武器』となる条件~ 意思決定の質を高め「成果」に繋げる方法とは ~」、宮田裕章氏・慶應義塾大学 医学部・教授「Better Co-Being:人的資本経営による経営の再起動」、有沢正人氏・HR GENESIS株式会社・代表取締役「『Talent intelligence Forum』Vol.1 【7月限定配信】人的資本経営の『実装論』」、伊藤邦雄氏・一橋大学・名誉教授 一橋大学CFO教育研究センター長「PBR世界水準への挑戦 〜AI時代の人的資本ROI戦略」、入山章栄氏・早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学ビジネススクール・教授「『知の探索』が拓く人的資本経営 〜多様性がイノベーションの連鎖を生む〜」が挙げられます。

人的資本経営ソフトとは、従業員の経歴・スキル・評価・キャリア意向などを一元管理し、採用・配置・育成・評価をデータに基づいて進めるためのシステムです。代表例は、Talent Palette(株式会社プラスアルファ・コンサルティング)、カオナビ株式会社カオナビ)、HRBrain株式会社HRBrain)です。単体の機能として人材情報の可視化、タレントマネジメント、評価、組織診断などを備え、周辺サービスでは採用、労務管理、研修、健康管理などと連携し、人事戦略全体を支援します。

人的資本経営ソフトの導入企業では、紙やExcel、部門ごとの個別管理から、人材情報を統合して配置・育成・評価を継続的に改善する運用へ変化しています。近年は特に、旭川市のTalent Paletteによるスキル・資格・研修履歴の可視化、株式会社三十三銀行のHRBrainによる人材配置や1on1の高度化、株式会社エイコーや株式会社チノーのカオナビによる経営層・現場のデータ共有など、分散情報を人材ポートフォリオやマネジメントの改善につなげる事例が増えています。

次回開催する人的資本経営の講演

井上英樹

AIが人的資本経営の「武器」となる条件 ~ 意思決定の質を高め「成果」に繋げる方法とは ~

組織成長を左右する「人的資本経営」においてAI活用が注目される一方、「異動の質が変わらない」「成果に繋がらない」といった悩みが絶えません。その根本原因は、現場ごとに人材データが散在し、AIが真価を発揮する「土台」が整っていないことにあります。 本講演では、数千社の人事データ活用を支援してきた知見をもとに、AIを単なるツールで終わらせず「意思決定の武器」に変える条件を解説。採用・配置・育成の各場面で成果を出す「AIエージェント」の実践的な活用ステップと、データ基盤のつくり方をお伝えします。 こんな方にオススメ 人的資本経営を推進する「武器」としてAIを活用したい方 AIを人事領域に導入したものの、具体的な成果や変化を実感できていない方 人材データが部署やシステムごとに散在し、意思決定に活かしきれていないと感じている方 配置・異動・育成の判断基準をアップデートし、組織の意思決定の質を高めたい方 人事データ基盤の構築や「AIエージェント」の実践的な活用イメージを知りたい方 内容詳細・講師のご紹介 プログラムは変更する場合がございます。予めご了承ください。

AI(人工知能) 人事・総務 企業価値向上・ROIC経営・ESG経営・人的資本経営
井上英樹 株式会社カオナビ 執行役員CPO/プロダクトプランニング本部長

ECサイト構築・支援企業にて、主に大手企業向けECサイトの構築を担当。その後、製品開発部門にて執行役員としてプロダクト開発と事業推進を統括する。2025年に当社に入社し、プロダクトマネージャーとしてプロダクト戦略を推進。同年よりプロダクトプランニング本部長、2026年4月にCPOに就任。 ※役職等は講演当時のものです

※役職等は講演当時のものです

下間仲享

AI時代に成果を最大化する組織の作り方

AIの進化により業務や人的資本のあり方が劇的に変化する中、場当たり的なAI導入により思った成果が得られない企業も多いのが現状です。AIを戦略的に活用し、成果を最大化するための業務や人材を業務棚卸を起点に再定義するアプローチを解説します。

AI(人工知能) マネジメント・人材育成 組織づくり・エンゲージメント
下間仲享 株式会社SIGNATE 営業本部 営業4課マネージャー シニアアカウントエグゼクティブ

エン・ジャパン株式会社(現:エン株式会社)にてチームリーダーとして幅広い規模の企業の採用支援とプレイングマネジメントに従事。その後、株式会社SIGNATEにて商社、製薬、製造業等の大手企業を中心にAIによる業務変革、DX人材育成プロジェクト等に従事。営業マネージャーを務める。

※役職等は講演当時のものです

『人的資本経営ソフト関連の講演者・各社の取り組み・成功事例がわかるセミナーをピックアップ』

2025年は、冨永健氏がjinjer株式会社の「“正しい”人事データが組織の未来を変える」で、人事データの整備が戦略的な意思決定や組織成長に直結することを解説しました。山﨑真氏はOne人事の「人材情報を“活かす”時代へ」で、人的資本経営を支える現場起点のデータ活用について説明しました。

2024年は、中村政方氏がHRBrainの「人と組織の進化:従業員エンゲージメントで革新する働き方とは」で、エンゲージメントサーベイを活用した組織運営を解説しました。前田英俊氏はカオナビの「人的資本経営時代に求められる組織エンゲージメント」で、タレントマネジメントによるエンゲージメント向上のポイントを紹介しました。

2023年は、入山章栄氏が「世界の経営学から見る、人的資本経営への視座」で、世界標準の経営学から日本企業の人的資本経営とイノベーションを考察しました。佐野稔文氏はSmartHRの「開示義務化で加速する人的資本のデータ活用」で、人的資本データの一元化から分析・活用までの進め方を解説しました。

2022年は、萬大祐氏が東芝デジタルソリューションズの「社員データを活かした人的資本経営の実現」で、人材情報の可視化と従業員データの活用方法を紹介しました。鈴村賢治氏はプラスアルファ・コンサルティングの「科学的人事を実現するタレントマネジメントとは?」で、人事データを活用した最適配置や人材育成の事例を解説しました。

2021年は、伊藤邦雄氏が「人的資本経営、そして人事部門の変革に向けて」で、経営戦略と人材戦略を連動させる人的資本経営の方向性を説明しました。佐久間祐司氏はLINEの「ハイエンゲージメントな組織デザインに向けた人事データ・HR Tech活用」で、データとテクノロジーを活用した組織づくりについて議論しました。

注目の導入事例は、株式会社デンソーがタレントパレットを活用し、グループ横断で人材情報を可視化してキャリア支援や最適な人材配置につなげました。東レ株式会社はHRBrainのEX Intelligenceを導入し、サーベイ結果を現場へ迅速に共有することで、各部署の組織改善を促進しました。株式会社土屋鞄製造所はタレントパレットに人事データを集約し、経営・人事・現場が共通データに基づいて人員配置や人材育成を検討できる環境を整備しました。株式会社メディアオーパスプラスはfreee人事労務を導入し、人事労務業務の内製化や勤怠管理の効率化、内部統制の強化を実現しました。HUMAN MADE株式会社はfreee人事労務を活用し、勤怠管理・給与計算・会計を一元化して、データ集計の自動化と人員増加への対応を進めました。

事業内容や置かれた環境によって有効な打ち手は異なりますが、本レポートをアイデアのヒントとして、人的資本経営へと向かう変革を主導する一助としていただけますと幸いです。

※登壇者の氏名・所属・役職は講演開催当時の情報です。現在の所属・役職とは異なる場合があります。

※本レポートは、ビズスタに掲載された「人的資本経営の成功事例」をテーマにした講演情報と、各社が公開している導入事例を元に傾向を分析しています。

※導入事例の参照:旭川市「旭川市がタレントマネジメントシステム『Talent Palette』を導入」、株式会社エイコー「『10ページで伝わるものをつくる』何度もやり直した、社長直轄の人事戦略」、株式会社チノー「人材は『企業の未来そのもの』。そのために『マネジメントの高度化』に取り組む」、株式会社三十三銀行「3,000名の人材データを一元化。 三十三銀行が挑む、データから導く最適な人材配置の実現」、HUMAN MADE株式会社「freeeなら5倍の人員増加にも対応!高い拡張性と直感的なUIで急速なビジネスグロースを支援」、株式会社メディアオーパスプラス「freeeだから実現できた分社化、経営インフラとしてfreeeがバックオフィスから日本をアップデート」、東レ株式会社「現場主導の組織改善を図る。 従業員がいきいきと働くための取り組みとは」、株式会社デンソー「モビリティ社会の真価を先取りした人材マネジメント改革のチャレンジ」、株式会社土屋鞄製造所「ワンプラットフォームで実現する データに基づいた人事の本質とは」

編集者:ビズスタ市場調査チーム