このレポートは、2019〜2026年開催の「タレントマネジメント」に関連する講演をもとに作成されています。掲載講演の関心は、全従業員の活躍支援から人的資本経営を軸にした戦略人事、AIでつなぐ人材データ活用へと移っています。一貫しているのは、個人の能力や意向を可視化し、育成・配置・組織成果に結び付ける問題意識です。近年は特に、生成AI(文章や画像などを生成するAI)とスキルデータを用いた意思決定の議論が増えています。
2025〜2026年(AI・スキル基盤を経営判断へ接続)
労働人口の減少や事業環境の変化を背景に、採用だけで必要人材を確保するのではなく、既存人材の能力開発と適正配置を進める必要性が高まっていました。人的資本経営では、人事施策が経営戦略にどう寄与するかを示すことが課題となり、人材情報を部門別に管理するだけでは不十分になっています。生成AIの実用化が進む一方、データの分断、不備、判断への未接続は、人事領域でも活用の障壁でした。また、多様な人材の登用では、経験機会や配置に潜む偏りを把握し、公平性と事業成果を両立する視点が求められています。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されている講演では、AIを含むデータ基盤を実際の人事判断へ結び付ける論調が中心です。那須大氏は第5回 HR Leaders 未来会議 2026 人財戦略編で、4,500社のタレントマネジメント支援から、データが「誰の判断にも繋がっていない」ことが変革停滞の原因になると提示しました。松山雄一郎氏はjinjer HR REVEAL 2026で、システム間の断絶を解消し、人事データとAIの価値を引き出すジンジャーのプロダクトビジョンを語っています。三菱重工業株式会社の堀内俊孝氏は「HR Innovation 2030」の下、人事組織再編とHRDX、人材公募の活性化、データに基づく適正配置を進める実践を紹介しました。株式会社日比谷花壇では中山真吾氏、向江正智氏らが、HRBrainとHRBrain採用ソリューションを用いて採用から人事戦略全体をカバーする構想を示しました。川口佳子氏はブックオフグループホールディングス株式会社における社員1,700名超の組織診断サーベイ活用を説明し、離職率5%の企業文化を基盤に、経営層から現場を巻き込む施策と戦略的人材データベースの構築を論点にしています。
2023〜2024年(人的資本開示から戦略運用へ)
人的資本に関する情報開示への対応が進む中、人材情報を集計・可視化するだけでなく、企業価値向上に向けた施策へ転換することが課題となっていました。雇用の流動化、スキル変化、リスキリングの必要性によって、画一的な育成や定期異動だけでは人材活用が難しくなっています。人事DXの普及によりデータ収集の手段は増えた一方、データ定義の不統一や運用定着の不足が、経営との対話を阻む要因になりました。生成AIへの関心も広がり始め、人事データ分析の高度化と、判断における倫理・偏見への配慮が並行して問われていました。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されている講演では、人的資本経営を「可視化で終わらせない」ための配置、育成、エンゲージメント施策が繰り返し扱われました。鈴村賢治氏、望月一矢氏、山夲哲平氏ら株式会社プラスアルファ・コンサルティングはタレントパレットを軸に、スキル、業務経歴、人材ポートフォリオ、サクセッションプランを結び付ける科学的人事戦略を提示しています。特に石山恒貴氏、澤和宏氏、鈴村賢治氏によるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の事例は、レンタル事業からBOOK & CAFÉやマーケティング事業へ軸足を移す変革と、人事データ活用を接続した点に特徴があります。中村政方氏は株式会社HRBrainの累計3,000社の導入支援実績を基に、人材育成と最適配置の手法を解説しました。株式会社カオナビの後藤秀臣氏、前田英俊氏、新田彩瑛氏は、エンゲージメント向上を人員配置や生産性向上へつなぐ運用を論点化しています。松原仁氏と山口周氏によるSmartHR Connect 2024では、採用やタレントマネジメントへのAI導入に伴うピープルアナリティクスの倫理も議論され、技術導入の効果だけを追わない論調が示されました。
2021〜2022年(人事DXと人的資本経営の立ち上がり)
コロナ禍を経た働き方の変化により、テレワーク下でも個人の状態、スキル、成果を把握し、組織運営へ生かす必要が生じていました。ジョブ型雇用、キャリア自律、リスキリングへの関心が高まり、企業主導の一律配置から個人の意思や職務を考慮する人材マネジメントへ目が向けられました。人事システムの導入は進んだものの、データ管理にとどまり、分析や育成・登用へ生かせないことが導入後の課題となっていました。人的資本経営の議論が本格化するにつれ、人事部門には管理機能に加えて経営のビジネスパートナーとしての役割が求められていました。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されている講演では、タレントマネジメントを人事DXの次段階として定着させるための基礎設計と実践事例が語られています。佐藤寛之氏、藤井俊介氏、野田和也氏ら株式会社カオナビは、能力・スキルを経営資源として採用、配置、育成に使う考え方と、システム導入だけでは成功しない運用の重要性を示しました。鈴村賢治氏は株式会社プラスアルファ・コンサルティングのタレントパレットを通じ、ハイパフォーマー分析、最適配置、育成、エンゲージメント向上を含む科学的人事を提起しています。有沢正人氏はカゴメ株式会社におけるジョブ型人事とHRテックを基盤とした人事制度改革を紹介し、石山恒貴氏との対談では自社固有のタレントマネジメントを設計すべきだと論じました。野川真木子氏は三菱マテリアル株式会社のHRX、職務型人事制度、次世代経営人材育成、HRBP制を紹介しました。後藤裕子氏は転職サービス「doda」の170万件以上のデータを活用し、給与、経験、実績評価、スキル、エンゲージメントを一貫管理する日本的ジョブ型雇用の論点を示しています。
2019年(全従業員の活躍を競争力として捉える)
人材獲得競争が強まる中、限られた人材を採用するだけでなく、在籍する従業員の力を組織成果へつなげることが経営課題となっていました。人事領域では、一部の後継者や高業績者を対象とする管理から、従業員体験やエンゲージメントを含む幅広い人材活用への関心が広がっていました。デジタル技術の活用は進展途上であり、データ分析の高度化よりも、人を経営資源としてどう位置付けるかが主要な論点でした。組織開発では、個人の能力発揮を支える環境や文化を整えることが、定着と生産性の両面に関わると捉えられていました。こうした背景のもと、ビズスタに掲載されているNext Culture Summitの講演では、荒井一広氏、永島寛之氏、小林正忠氏が「全従業員の『できる化』」をテーマに議論しています。講演概要は2019年の有効求人倍率1.61倍を人材確保の厳しさを表す背景として挙げ、一部人材に限定した従来型タレントマネジメントではなく、全従業員のエンゲージメントとエンパワーメントを高めることを競争力の源泉として位置付けました。ワークデイ株式会社、株式会社ニトリホールディングス、楽天株式会社の登壇者が、人材領域のCxOや従業員体験を経営戦略に置く視点から、人への投資を組織の価値創出へつなぐ構図を提示した点が、その後の人的資本経営の議論につながっています。
全体を通じて、掲載講演では登場回数が最も多い株式会社カオナビに加え、株式会社プラスアルファ・コンサルティングのタレントパレット、株式会社HRBrainのHRBrain、株式会社SmartHRが、人材データを人事施策へ転換するプレイヤーとして繰り返し登場します。タレントマネジメントは一貫して、単なる人事システムではなく、個人の活躍、組織変革、経営戦略を接続する基盤として位置付けられ、近年はAIとスキルを取り込む段階へ移っています。
※登壇者の氏名・所属・役職は講演開催当時の情報です。現在の所属・役職とは異なる場合があります。
編集者:ビズスタAI編集チーム
データソース:ビズスタ掲載中のタレントマネジメントの調査レポート関連の講演情報
価値観の多様化や経営環境の変化が顕著な今日、組織力を向上させるために人材データを活用したタレントマネジメントが注目されています。しかし、多くの企業ではデータ管理にとどまり、データ分析・活用まで到達できていないケースが散見されます。本講演では従業員体験(EX)の向上から考える、個人と組織に向き合うタレントマネジメントの成功法を事例を用いて解説します。
DX化においては、単なる人事業務の効率化に留まることなく、データ活用による組織の変革や社員のパフォーマンスの最大化、つまり「科学的な人事戦略の実現」が成功のカギとなります。本講演はHRテックの活用による人事施策の変革(タレントマネジメント)について、先進事例を交えながら解説いたします。
外部環境の大きな変化にともない、多くの企業がテレワークをはじめとした働き方改革を加速させています。この働き方の急速な変化は会社と社員それぞれのビジョンをも一変させました。そこで今改めて注目されているのがタレントマネジメントです。本講演では、これからの時代に必要不可欠なテクノロジー「タレントマネジメントシステム」の活用事例を交え、社員の個性や才能を発掘し、戦略人事を成功させている数々の企業様の実例を一挙にご紹介いたします。
日本企業ではジョブ型やタレントマネジメントと呼ばれる米国型の人事戦略の導入が進んでいる。野球界でも米国型の理論や練習スタイルが導入されるケースがある。人を重視する日本型と合理性を重視する米国型、真の常勝チームをつくりあげるのはどちらか。日本の野球で選手としても監督としても頂点を極め、日本で常勝チームを作り上げてきた落合氏が考える、日本野球と米国野球の違いとは。そして、日本のリーダーのための真のマネジメントについて語る。
コロナ禍が収束しても、テレワークを前提とした働き方は続くことが予想されます。また、働き方が変わる中で、企業は経営戦略・人財戦略を大きく見直しています。本セッションでは、今後の人財戦略のあり方と日立の方向性を示し、具体敵な事例として、日立ソリューションズのテレワークやジョブ型マネジメント、タレントマネジメントの取り組みをご紹介します。
近年注目されているタレントマネジメントについて、環境変化をふまえながら、日本企業がいかに実践していくことができるのかについて考えていきます。具体的には、企業の取り組み事例や、適者開発という観点に注目します。
近年、盛り上がってきている、タレントマネジメントにおけるデータ利用の現状と論点をピックアップします。 「データを用いて統計的分析やAI処理をすることで人事に貢献する」という点では使わない選択肢はありません。ただし、いろいろ乗り越えなくてはいけない注意点はあります。 この講演では、それを考える上での論点出しをいたします。
荏原グループは、より一層世界規模で事業展開し、持続的に成長する産業機械メーカへと発展するために、積極的にDXを推進しています。データとデジタル技術を駆使し、製品やサービス、ビジネスモデルをグローバルに変革する「攻めのDX」と、海外拠点が個別に事業を行う「インターナショナル経営」ではなく、各拠点に個別のファンクションを置かずグローバル一体運営されている「グローバル経営」への変革のために、ERPやタレントマネジメントシステムなどグローバルな情報インフラを整備する「守りのDX」の両面からDXに取り組んでいます。 本セッションでは、荏原グループにおけるDXの取り組みをご紹介します。